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三島由紀夫『春の雪』

『なぜなら、すべて神聖なものは夢や思い出と同じ要素から成立ち、時間や空間によってわれわれと隔てられているものが、現前していることの奇蹟だからです。しかもそれら三つは、いずれも手で触れることのできない点でも共通しています。手で触れることのできたものから、一歩遠ざかると、もうそれは神聖なものになり、奇蹟になり、ありえないような美しいものになる。事物にはすべて神聖さが具わっているのに、われわれの指が触れるから、それは汚濁になってしまう。われわれ人間はふしぎな存在ですね。指で触れるかぎりのものを瀆〔けが〕し、しかも自分のなかには、神聖なものになりうる素質を持っているんですから』
三島由紀夫『春の雪』

Yukio Mishima, Dreams, memories, the sacred
Dreams, memories, the sacred – they are all alike in that they are beyond our grasp. Once we are even marginally separated from what we can touch, the object is sanctified; it acquires the beauty of the unattainable, the quality of the miraculous. Everything, really, has this quality of sacredness, but we can desecrate it at a touch. How strange man is! His touch defiles and yet he contains the source of miracles.
Yukio Mishima, Spring Snow

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